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ケータリングとは:言葉の意味と企業や業界によって異なる意外な利用法

flash of intuition
パーティー用に料理がたくさん並べられた食卓

「ケータリング」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?

料理がたくさん並んだビュッフェスタイルのパーティーや、会社でのオードブルのようなものを連想するでしょうか。

実は、このケータリングという言葉は、非常に広い意味を持っています。

今回は「ケータリング」が指すものと、その内容についてご紹介します。

ケータリングとは、どんな意味なのか。

ケータリングは、英語では「catering」とつづります。

ケータリングの意味は、三省堂の大辞林第三版によると

① パーティー会場などに出張し、そこで料理をつくって提供すること。食卓の設営や配膳なども行うことが多い。

② 家庭に料理を配達すること。また、その料理。

コトバンク「ケータリング

と紹介されています。

日本語に訳すのであれば「出前」や「仕出し」と表現できるでしょう。

日本のケータリングの出自は「屋台」

それでは、ケータリングはどのようにして誕生したのでしょうか。

起源は中国の紀元前など、文献によって様々ですが、ローマ帝国支配下の古代ギリシャ人が王や貴族のために仕出し料理を作ったのが起源とされており、古来は庶民のものではなく、王族のための仕出し料理といった位置付けだったようです。

米MADE FROM SCRATCHの提供するケータリングの歴史についてまとめた「The History of Catering in the United States」によると、アメリカで初めて「catering」という表現が出てくるのは、イギリス将軍ウィリアム・ハウの退任を祝うために1778年にフィラデルフィアで行われた「ballボール」と呼ばれるダンスパーティとのことです(イメージとしては日本語の「舞踏会」という表現がマッチするかもしれません)。

日本における起源は、戦乱の安土桃山時代を経て誕生した江戸時代と言われています。

落語「唐茄子屋政談」などでもお馴染みの行商や、同じく「時そば」でお馴染みのおでんやそば、うなぎに天ぷら、江戸前寿司など、庶民に向けた屋台が起源となったようです。

今のように流通経路が発達していない人力の世界だからこそ、鮮度のあるうちに料理して提供するという仕組みが整っていたと考えられます。

意味の広いケータリングという言葉

先にご紹介したように、ケータリングには、パーティー会場などに出張し、料理を作って提供することと、家庭に料理を宅配する、という意味が存在すると紹介されています。

すなわち、お弁当など料理の宅配や、冠婚葬祭の仕出し料理、クレープなどに代表される移動販売など、全てを広く形容してケータリングと呼ばれているようです。

主に内包される概念としては、以下のようなものでしょう。

ケータリングの意味について図解

  • デリバリー
    お弁当・出前・仕出し料理に代表される料理やお弁当を届けること。
  • オードブル
    主に職場や家族での会食のために、大皿の盛り合わせを提供すること。
  • バンケット
    料理に加え、ホテルや会場の手配を含めてトータルでサービスを提供すること。

ケータリングと通常の外食が大きく異なるのが、飲食店に出向いて食事をするのではなく、依頼する人のニーズに合わせてお弁当やお料理、時には会場まで押さえてセッティングできることです。

ケータリングを専門とする業者の中には、料理のお届けのみならず、専任のプランナーが会場設営からテーブルのセッティング、会場の後片付けやゴミの回収までワンストップで行なっていただけるサービスが存在したりしています。

業界によっては、意味の異なる「ケータリング」という言葉

ところで、外食以外にも私たち誰しもが体験するのが、地域のお祭りなど一般的なイベントではないでしょうか。

地域のお祭りやイベントでは、一般消費者がお店(出店・屋台)にお金を払うことによって、食品や飲み物が提供されることが普通です。

ではここで、映画の撮影やテレビのロケや取材、音楽イベントというシーンを考えてみたいと思います。

これらを総称して制作現場とした時、プロデューサーやディレクターが表現する「ケータリング」は、広義のケータリングと少し意味が異なります。

制作現場においては、成果物(作品や映像、イベント)を作るために、スタッフが演者を雇っているケースがほとんどです。

この場合、一般消費者に作品を提供するため、スタッフが、芸能人などの演者さんを雇うという構図になります。

ここで、一般消費者が居ない、バックステージでの食事提供や、ドラマ・映画の撮影では、現場の関係者に飲食物を提供する必要があります。

この現場を円滑に進め、士気を高めるために、アシスタントプロデューサーなどの立場の人が、演者さんや他スタッフのための食事や飲み物を用意するという制作者スタッフ・演者向けにおもてなしをすることを「ケータリング」と表現します。

単に関係者に向けての飲食物の提供という意味でもありますが、そこには現場スタッフへの気遣いと士気を高めるための食事という背景が存在するのがポイントです。

お家でケータリングサービスを利用するという人たちの存在

さて、制作を行う業界のケータリングの意図は、士気を高めるというもてなしにあるのではないか、という視点をお伝えしました。

これは、何も制作に携わる人たちのことばかりではありません。

リモートワークの発展や、生活環境の変化により、例えば「大好きなお店の料理を誰にも邪魔されることなく、好きなNetflixの番組を見ながらゆっくり食べたい」というニーズは、以前にも増して高まっています。

少し古い資料ですが、2018年9月にマイボイスコム株式会社が行なった「デリバリーに関するアンケート調査(第6回)」のサマリー部分に、以下のような記述があります。

直近1年間デリバリーサービス利用者のうち「休日・夕食」に利用する人が5割強、「休日・昼食」「平日・夕食」「パーティ、来客時」が各2~3割。注文方法は「店舗に電話」が6割弱、「店舗のWeb サイト・アプリ」「デリバリーサービスのWebサイト・アプリ」が各3割。

デリバリーに関するアンケート調査(第6回)

ここでの直近1年間とは、2017年9月〜2018年8月までのことを指します。

この調査によれば、全国で見ると2010年からの調査で回を重ねるごとに、食事のデリバリーサービスを利用する人たちが減少傾向にありますが、関東圏での利用者は6割弱と記載が見られるように、都市部においてデリバリーサービスの利用率が顕著という結果のようです。

これらデリバリーサービスについての検証は今回は割愛しますが、都市部において利用率が高く、また利用者のうち休日の夕食に依頼する人が多いことがわかります。

デリバリーが平日の昼食に登場しない理由は、アンケートに回答する多くの方が会社にお勤めの方という理由もあるかと思います。

新しい事業者のデリバリー参入が続く

広義のケータリングには、デリバリーとして急成長中のUber Eatsも含まれるでしょう。

2016年9月に東京でUber Eatsがサービスを開始して以降、成長を続けており、Uber Eats全体で、流通総額は80億ドル(約8700億円)、稼働レストラン数は22万店(2018年実績値)となりました。

日本では2016年9月にサービスを開始。東京2区の150店舗からはじまったが、1年後には1000店舗、2年後には3500店舗、3年を待たずに1万店舗を超えるまでに成長している。

ダイヤモンドオンラインUber Eatsが4年で流通総額8700億円、課題山積でも急成長の内実

特に都市部では、若年層を中心に使っている方がとても多いUber Eatsは、現在では選択肢の一部として定着しつつあります。

さらに、大手ファーストフード各社もデリバリーに積極的に動いています。

Uber Eatsが生まれたのは、カナダのトロントですから文化の違いで正確な比較はできませんが、日本の成長速度を見ると都市部を中心に広範囲で受容されていることがわかります。

先の調査でデリバリーする場合に最も多いのがピザで、利用率が65.1%とのことでしたので、ファーストフードとデリバリーの親和性は高いのでしょう。

付加価値の創出が新たなニーズを呼び込む

さて、これまで見てきたような背景を踏まえ、オフィス街や都市部でのランチ時間帯を見てみると、慢性的な混雑に驚きます。

オフィス街近隣の飲食店がランチ時間帯に提供するお弁当販売には長蛇の列ができていることも。

この平日の昼食にランチ難民とならないため有効活用できるのが、デリバリーやケータリングです。

Uber Eatsを会社のランチで利用する企業にお邪魔したことがあります。

企業によっては、担当部署に内線電話を行い、注文者のオフィスまで届けてくれることもあるとか。

しかし、オフィスに部外者が来ることに眉を寄せる企業もあるでしょう。

そうしたランチの状況への解決策として移動販売車を利用したケータリングサービスが活用されています。

最近の移動販売車は、長年の経験等を考慮して、それぞれの色のあるサービスを提供していたりします。クレープなどが流行していましたが、もう一段階成熟したと言えるでしょう。移動販売車のランチの質の向上も寄与しているのです。

加えて、企業にとってメリットになるのが、きちんと手順を踏み、許可さえ得られれば移動販売車による自社社員へのランチ提供を行うことができるのです。

こうした企業にとっての付加価値としてのケータリングサービスは、都市部を中心にすでにITやコンサルタントの職場で活用されています。

オフィスのランチを少し見直すだけで、士気が上がり成果も出やすくなるのかもしれません。

なお、私たちの運営するケータリングカーの「Kitchen Surfer」は、食事や飲み物だけではない、空間や新しい体験をユーザーにお届けしています。

詳しくは、Kichen Surferのページをご覧ください。